この無力感はなんなんだ?
あのおじさんのせいじゃないようだ。降りしきる雨はわたしの長い髪を湿らせ、頭の中を冷ましてくれた。
そもそも、あのおじさんは悲しんでいないかもしれない。
「こんなもの注文しないでよくって、ホームレスって最高だ」と思って暮らしているのかもしれない。
それとも結構お金を持っていて、ディナーを選ぼうとしているのかもしれない。
もしくは友人がいて「どれかプレゼントするよ」と言われているのかもしれない。
何一つ、ほんとのところはわからない。
そう、これはあのおじさんが選んだ大事な人生。
ホームレスという生きかた。
そこに意味をかぶせたのはわたし。
わたしのほうが幸せ、と思ってやしないかい?
同情してやいないかい?
誰かを救いたいと、願ってやいないかい?
夕方の雨はいろいろなことを教えてくれる。ささやいてくれる。
わたしはこの体験に結論を出さないでいようと思う。無力感を浮かび上がらせてくれた「いつものおじさん」に感謝して。
夢をかなえよう、よりよく生きようとする人たちがいる反面
こうして最低限の生活をする人もいる。
この矛盾を、しっかり受け容れようと思う。
そして今後も内緒のサンタ活動を続けようと思う。
おじさんのためではなく、きっとこれは自分のため。
ひかりもやみも
抱きしめて生きる。
ヒーラーとしてアーティストして、
それがわたしの生きかたでありたいと、ただ願う。
Photo 嵐のあと 秋の夕焼け
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