昨日ある場所を通りかかった。
初めての
でも、思い出のある場所。
はからずも
いったいなぜ
ここを通っているのだろうと
ぽかん。
想像よりずっと
大きいビル広い敷地。
整然と
そしてちょっと冷たいところ。
こんなところに毎日
あの人は通勤していたんだ
そしてなじめなかったんだと
胸が痛んだ。
そしてその景色もあっという間に
飛びさった。
後ろへ
過去へと。
目の前には
優しい背中があり
わたしはこの人と
あたらしい未来をゆくのだと
知った。
肩に背中に手をまわし
ぎゅっと寄り添い
朝焼けにむかう風になる。
その先に
昇りはじめのまっかな太陽。
忘れられずにいた記憶も
傷も
まぶしく溶かして
あたらしい朝のはじまり。
宇宙は
「偶然などないんだよ」と
わたしに微笑んでいるようだ。
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